この章でわかること
・オーバーローン?アンダーローン?
・競売とは?
・任意売却とは?
・競売と任意売却の違い
・任意売却の費用
・任意売却依頼先の注意点
・任意売却のメリット・デメリット
・リースバックとは?
・不動産担保ローンとは?
・リバースモーゲージとは?
・リースバックのメリット・デメリット
・リースバックを検討する場面
・リースバックは買い手が重要!?
・リースバックにおける買戻し特約
-
オーバーローン?アンダーローン?
-
住宅ローン残高がローンの対象となっている土地や建物の評価額を上回っている状態のことをオーバーローンと言います。
借入後に物件の評価額が著しく下がってしまった場合、オーバーローン状態になります。
例えば、住宅の査定評価額が3,000万円であるのに対して、住宅ローン残高が3,500万円残っているようなケースではオーバーローンにあたります。その逆がアンダーローンとなります。
-
競売とは?
-
競売とは、住宅ローンや借入金等を滞納した場合に、債権者が担保不動産を売却して債権を回収するために裁判所へ申し立てる手続きです。
競売申し立てを受けた裁判所は、当該不動産を調査・評価し、一般に情報を公開し、入札(購入希望者)を募ります。入札日に、高値を入れた買主に対し、売却許可がなされ、その買主が代金を納付した時点で所有権が移転します。所有権移転後、ご自宅からの強制退去が求められます。退去しない場合、裁判所の執行官をはじめ、強制執行の業者、不動産管理会社などが立会い強制的に退去させられます。
また、競売は市場価格より30%~40%ほど安い価格で売却されてしまう事がほとんどですので注意が必要です。
-
任意売却とは?
-
住宅ローンの支払ができなくなった場合、自宅を売却してローンの完済を目指すことができますが、売却価格がローンの残債を満たさないオーバーローンの状態では売却すること自体ができません。
対象不動産にはローン債権者が抵当権をつけており、そのまま売りに出しても誰も買ってくれないからです。
そこで債権者と個別に交渉し、特別に抵当権を解除してもらい市場でできるだけ高く売り、これをローン残債に充当します。
より多くのローンの支払を受けられるので債権者にとっても悪い話ではありませんし、債務者様側も自宅を適正価値で売却できることで残債をより多く解消できるメリットがあります。
-
競売と任意売却の違い
-
①売却価格の違い(競売は市場価格より3~4割安く売却されてしまいます)
②残債負担の違い(任意売却による売却のほうがローン残債を圧縮できます)
③その後の人生のひっ迫具合
任意売却では残ったローン残債を分割で支払うことができ、事前に組んだ返済プランに従って生活に支障が出ないように配慮しながら返済
を続けていくことができます。競売はそれができず一括返済を求められるので、多くの場合では自己破産を検討しなければならなくなりま
す。
④引越し費用の融通の違い(最大100万円)
⑤引越し時期の違い
⑥プライバシーや心理的負担の違い
⑦悪質業者からの接触リスク(任意売却のほうが接触リスクは低い)
-
任意売却の費用
-
通常の不動産売却ではまとまった代金が手に入る反面、諸々の諸費用がかかります。
こうした諸費用は住宅ローン問題を抱えているなど経済的に余裕のない状態では大きな負担となります。
実は任意売却では諸費用の手出しが一切不要なのです。この手出しがないという意味は、諸費用がかからないという意味ではなく、その支払いについては不動産の売却代金から充当することが可能という意味です。下記に任意売却で通常かかる諸費用を記載致します。①仲介手数料
②抵当権抹消費用
③滞納中の管理費や修繕積立金
④滞納した税金
⑤引っ越し代金経済的に余裕のない状況で全て支払うのは困難ですが、任意売却では債権者と話し合って持ち出しなしで支弁することができます。
弊社では債権者と丁寧な話し合いを重ねて債務者様の持ち出し負担がないように任意売却を進めます。
-
任意売却相談先選定の注意点
-
任意売却をお考えの場合、私どものような任意売却専門業者にご相談されることを強くお勧めしております。
理由としまして、任意売却は通常の売却とは異なり、非常に難度が高く、任意売却を熟知している不動産業者は少ないからです。
熟知していない不動産業者に依頼してしまうと、段取りを把握しきれていないために開札日までに売却が出来なかったり、抵当権抹消について全ての債権者から合意が得られないなど任意売却が失敗に終わってしまう場合がございます。また、任意売却の相談先選びでもう一つ知っておいて頂きたいのは、弁護士や税理士のような不動産業者以外の専門家に直接相談するのは避けたほうが良いということです。
士業等の専門家のWEBサイトを見ると、たまに「任意売却相談対応」などの記載が見られることがありますが、彼らは法律や税の専門家であっても不動産売却の専門家ではありません。専門分野が全く違うので、結局は私共のような不動産業者に外注することとなります。
100歩譲って、私共のような任意売却専門の業者に任せるのではあればまだよいのですが、任意売却を熟知していない知り合いの不動産業者に任せてしまっている場合もございます。
私どもは”必要に応じて”各方面の専門家とも連携して課題解決にあたっており、上記のような専門家に支払う費用も必要最低限に抑えるように取り計らっております。諸費用を必要最低限に抑えることで各債権者との抵当権抹消に係る交渉も進めやすくなります。
初手は任意売却専門の不動産業者にご相談し、極力無駄な支出を抑え、手元に生活資金を残しておくようにしてください。
-
任意売却のメリット・デメリット
-
◆任意売却のメリット
1.適正な市場価格で売れる
競売では市場価格の5割~6割程度まで価格が落ちてしまい、安い価格で売却されてしまいます。任意売却は一般市場に売りに出せるので、市場相場を反映した売買価格を設定することができます。2.より多くの残債を減らすことができる
競売よりも高値で売れるので、残ったローンの負担を大きく減らすことができます。3.分割払いが可能
競売では換価処分された後のローン残債は一括で弁済しなければいけません。経済的余裕がない中で一括弁済はできないことがほとんどですから、多くのケースで自己破産を検討しなければなりません。
任意売却は債権者の許諾を取って進める際、残債の分割払いについても承諾を取り付けることができます。4.秘密性を保てる
競売では自宅の情報が全国に知られることになり購入希望者や金融業者、不動産業者などの関係者がひっきりなしに自宅を訪れ、近所に聞き取りをするなどプライバシーを保つことが難しくなります。任意売却ではそのようなトラブルが起こる可能性も低くなります。
販売活動は通常の売却とほとんど変わらないので、ローンを滞納している事実などが周囲にバレる心配もありません。5.持ち出しがない
不動産の売却では様々な初費用が掛かりますが、任意売却を進めるにあたっては債権者の承諾を取り、諸々の諸費用について債務者様の持ち出し負担がないように進めることができます。6.自宅に住み続けられる可能性がある
任意売却はリースバックと併用することができるので、成功すれば自宅に住み続けたままローンの問題を解決することができます。
リースバックは不動産を売却した上で、以降は家賃を払って賃貸物件として使用するものです。
弊社ではリースバックプランを用意していますので、外部の買い手を探すことなく、ご自宅に住み続けたままの任意売却が可能です。7.引越代金を支弁してもらえる
債権者から抵当権抹消の応諾を取り付ける際、引越代金を支弁してもらうお願いをすることも可能です。◆任意売却のデメリット
1.保証人に迷惑がかかる
住宅ローンに保証人が付いている場合は保証人に債務負担が生じるため迷惑がかかります。
ただ任意売却云々の前にローンを滞納した時点で保証債務の負担が生じるわけですから、任意売却自体の不利益とは言えません。
任意売却を進めるにあたっては保証人の承諾が必要ですが、承諾しない場合は最終的に主債務者が競売、自己破産となってより多くの債務が残り、その負担が保証人に回ります。
それを考えれば、傷が浅く済む任意売却に同意する方が得ですので、ほとんどの事案で保証人の承諾は取り付けられます。2.信用情報に影響が出る
任意売却は債権者側からすると金融事故扱いになるので、債務者様の個人信用情報に延滞記録が付きます。
これにより、一定期間は借り入れやローンの利用などができなくなります。
ただ信用情報に影響が出るのは競売も同じですので、任意売却特有のデメリットとはいえません。3.できるかどうかは債権者次第
任意売却は必ず債権者の許諾を取って進める必要があり、これに失敗すると一切話を進めることができません。
通常は任意売却を成功させる方が債権者の側にも利があるので、上手に話を進めれば許諾を取り付けることは十分可能です。
ただし任意売却を検討する前の段階で債権者と債務者との関係がこじれていたり、債権者側から見て債務者様の印象が相当悪い場合、任意売却の相談に応じてくれないこともあり得ます。
例えば相手からの連絡を一切無視していたり、相談の際に悪態をつくなどの経緯があると相手の心証が悪くなるのは当然です。
督促連絡などに対応するのは気が滅入るので放置してしまいがちですが、ローン支払いの滞納が始まった段階から真摯な対応を心がけることが債務者様自身を守ることになります。4.引き続き残債の支払いは続く
アンダーローン事案であれば不動産を売却した代金でローンを完済できますが、任意売却はオーバーローンの際に取られる手法ですから幾かの残債は残ります。
競売よりははるかに多くの残債を圧縮できますが、いずれにしても残った残債は引き続き返済の義務を負うことになります。
それでも競売と違い分割で払っていけるので生活への影響を最小限に抑えることができますから、それほど心配はいりません。5.迅速に行動しなければならない
任意売却に失敗すると結局競売に進んでしまいます。
そうならないためには債務者様自身が迅速に行動し、任意売却に充分な時間を確保できるようにしなければなりません。
不動産業者に相談した時点でタイムリミットが迫っていると、買い手を見つける前にタイムオーバーということもあり得ます。
ローンの滞納が始まったらすぐ、できれば滞納が生じそうだと感知した段階で早めに相談するのがお勧めです。
-
リースバックとは?
-
リースバックとは、所有物件を売却し、新所有者に賃料を払って賃貸として住み続ける方法です。
お子様がいらっしゃる家庭で学区が変わるのを避けたい、通勤がしやすい今の家を離れたくない、というケースなどで利用されます。
正式名称はセールス&リース・バックといい、売って、借りて、買い戻すという意味があります。
つまり何らかの理由で自宅を売らなければならない場合でも、売ったうえで賃貸物件として使用しつつ、将来は買い戻すこともできるということです。将来的に買い戻せるということで、検討価値の高い手法です。
似たようなものに、不動産担保ローンやリバースモーゲージがありますが、リースバックとは全く異なるものですのでこの点は押さえて頂きたいところです。
-
不動産担保ローンとは?
-
不動産担保ローンとは、不動産を売却するのではなく担保に入れた上で資金を借り受けるものです。つまり借金ですので一定の利息を乗せて返済する義務が生じます。
-
リバースモーゲージとは?
-
リバースモーゲージとは、不動産担保ローンと同様に不動産を担保として利用し資金を借り受けるものですが、通常の不動産担保ローンと違い債務者様が死亡した際に換価して債務返済に充当する約束を最初から取り付けておくものです。
-
リースバックのメリット・デメリット
-
メリット
・引っ越しせずに済む
・維持管理費がかからなくなる(固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金など)
・まとまった資金確保ができる
・将来の買戻しが可能
・周囲に売却を知られずに済むデメリット
・売却価格は低めになる
・賃料が相場より高めになる(貸し手は賃料収入による利益を狙って購入しているため)
・定期賃貸借契約となる(契約満了時は両者の合意がないと更新できない)
・自由なリフォームはできない
・買戻す際は売却価格より高くなる
-
リースバックを検討する場面
-
①住宅ローンの返済が必要なケース
弊社で特に多いのが住宅ローンの返済が必要なケースです。
住宅ローンの支払が苦しくなった時は自宅を売却してローンの完済を考えることになります。
アンダーローン状態であればリースバックを利用することによりローンを完済したうえで自宅に住み続けることができます。
オーバーローンで通常の売却が叶わない場合でも、弊社では任意売却とリースバックを併用することが可能です。
任意売却によって競売に進むことを避けつつ、できるだけ高額で売却して少しでも多くのローンを返済し、なおかつリースバックによって引き続き自宅に住むということが可能です。②住み替えを検討するケース
住宅ローンを利用していないケースでもリースバックが用いられることがあります。
住み替えを検討するようなケースでは、リースバックによって新居の購入資金を確保でき、新居へ引っ越すまで旧自宅に住み続けられるので、仮住まいを用意する必要がありません。③老後の生活資金を確保したいケース
老後の生活資金が心配な方で、まとまった資金を確保するためにリースバックを利用したい、との相談も多く寄せられます。
売却代金でまとまった資金を確保し、かつそのまま自宅に住み続けられるので慣れたご自宅を離れる心配が要りません。④相続対策のために不動産を現金化したいケース
相続人同士で分割しにくい不動産を巡って争いが起きることが懸念されます。
リースバックによって事前に現金化しておけば相続が起きた際に争いを避けられ、生前も自宅に住み続けられます。
-
リースバックは買い手が重要!?
-
リースバックの買い手となるのは大きく分けて①不動産業者②親族関係③外部の投資家です。
弊社にリースバックのご相談を頂いた場合、①基本的には弊社で直接買い取ってリースバックを行うことを提案致しております。
弊社は住宅ローン問題専門の不動産業者ですので、住宅ローン問題も同時に解決できるような提案を差し上げることができます。
ご相談者様にとってより望ましい状況をよりスムーズに実現できるので、この形がベストと考えております。ただ、ご希望があれば②親族の方を買い手に設定し仲介することもできます。
この場合は取引相手が親族なので、賃料の設定を本来よりも低めにしたり、売却価格などの面でも融通を利かせることができます。
しかしながら、親族間売買の不動産売買ではローンを組むことが難しく、買い手となる親族の費用負担をどうするかが問題となります。
また売り手側がローンの問題を抱えている場合、ローン残債を賄えるかどうかも課題となり、ローン残債を賄えるだけの金額でなければローンの債権者から任意売却の許諾をとらなければなりません。親族間売買における任意売却では債権者側は売買金額をシビアに見ますので、相場よりも高い金額での売買としないと許諾が取れないことが多いです。親族に買い手候補がいない場合、③外部の投資家を探すことも可能です。
ただし投資家は利益を出すことを目的として物件を探しているので、リースバックを相談するならば十分な旨味を提示することが求められます。投資家側からすると、より安く、より高い賃料を設定し、買戻しの際にはできるだけ高く売ろうとします。
結果として売り手側はそれだけ不利になり、金銭的な負担が増えることになります。また外部の投資家は弊社のようにローンの問題解決を積極的に考えてくれる期待は持てません。よって、弊社では特段の事情がなければ外部の投資家を探すことをお勧めしておりません。
-
リースバックにおける買戻し特約
-
まず、法律上の性格として民法の買戻し特約と混同されることが多いので違いを押さえておきます。
民法上の買戻し特約は、買い手側が売買代金や契約にかかる費用を売り手に返還したうえで、売買契約を解除する特約を指します。
つまり当初の契約を無かったことにするもので、リースバックにおける買戻し特約とは全く異なります。リースバックにおける買戻しは契約書上では「再売買の予約」と記載されることが多く、将来の別の契約によって自宅を買い戻すことを予約する意味があります。
次に買戻しをするための条件ですが、必ず当初の売買契約書に「再売買の予約」として買戻しの特約事項を明記することに留意します。
親族間でリースバックを検討する場合でも、不備のない契約書を作成しておかないと後でトラブルになります。
この辺りに関しましては弊社スタッフがトラブルが生じないように配慮した契約書を作成しますのでお任せください。そして大きな注意点として、賃貸中は絶対に家賃の滞納が無いようにしなければなりません。
家賃の滞納があると契約に従って退去しなければならなくなり、買戻しの特約も機能しなくなってしまいます。
最後に、買戻しを希望するのであれば着実な資金の積み立てが必要です。
計画的な資金の積み立てを早い時期から始めておくようにしましょう。